Live as if you will die tomorrow





「すげぇ…」


出てきた情報量の多さに、素直な呟きが漏れる。


基本的なものだけではない。メインバンクもサブバンクも隠し口座も、取引があった会社、切った会社、親密な交友関係…ありとあらゆる個人情報が、無機質な画面いっぱいに、曝け出されている。

一糸纏わぬ姿、だ。


崇が俺の所に来るような馬鹿じゃなかったら、あいつ世界級で名を馳せたかもな、と、そんな考えが脳裏に過ぎった。


ー家族はどうなってる?


一抹の不安を抱きつつ、画面を下げていく。



家族構成は三人家族となっていて、父親の年齢の割に、一人息子はまだ小学生だった。


離婚暦も勿論記載されていて、見知った名前に皮肉な笑みが溢れる。




ーなんだ、崇は気づいてなんかない。心配するまでもなかったか。


それは、余裕が出てきた事の表れだった。


ーそりゃそうだよな。元から無かったんだから、《在る》筈もないよな。


煙草を一本取り出し咥え、ライターで火を着け、椅子に深く座り直す。


が。


「次はビョーキ、っと」


続けて出てきた病歴と、既往歴で、口角が上がったまま固まった。


< 122 / 314 >

この作品をシェア

pagetop