Live as if you will die tomorrow
「すげぇ…」
出てきた情報量の多さに、素直な呟きが漏れる。
基本的なものだけではない。メインバンクもサブバンクも隠し口座も、取引があった会社、切った会社、親密な交友関係…ありとあらゆる個人情報が、無機質な画面いっぱいに、曝け出されている。
一糸纏わぬ姿、だ。
崇が俺の所に来るような馬鹿じゃなかったら、あいつ世界級で名を馳せたかもな、と、そんな考えが脳裏に過ぎった。
ー家族はどうなってる?
一抹の不安を抱きつつ、画面を下げていく。
家族構成は三人家族となっていて、父親の年齢の割に、一人息子はまだ小学生だった。
離婚暦も勿論記載されていて、見知った名前に皮肉な笑みが溢れる。
ーなんだ、崇は気づいてなんかない。心配するまでもなかったか。
それは、余裕が出てきた事の表れだった。
ーそりゃそうだよな。元から無かったんだから、《在る》筈もないよな。
煙草を一本取り出し咥え、ライターで火を着け、椅子に深く座り直す。
が。
「次はビョーキ、っと」
続けて出てきた病歴と、既往歴で、口角が上がったまま固まった。