Live as if you will die tomorrow
「お待たせしました!あっ…」


「あら、忘れ物?珍しい。気をつけてね。いってらっしゃい。」


静が、凛子が手にして居る物に気付き、奪い取るようにして俺へと差し出す。

向けられる貼り付けた作り笑い。


「もう必要なくなりました。」


静が触れたものに対する拒否反応。いや、拒絶。


もう一秒たりとも同じ空間に立っていたくなくて、受け取ることなく家を出た。



外で待っている車に乗り込み、鞄からノートを取り出す。


ー今からなら間に合うか。


ペンを走らせ、記憶しておいた内容を書いていく。



「珍しいですね。宿題ですか?」



運転手から声が掛かり。



「はい。」


とだけ答えて、一心不乱に書いていく。



その文字の羅列を目にしながら、静の言葉が引っかかっていた。


わかってはいけない、理解してはいけない何か。



いずれ、辿り着くか、その前に降り懸かるか。



形容し難い焦燥感に駆られ、それを勢いにして、ペンをひたすらに走らせた。
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