Live as if you will die tomorrow
33
一月。
暫く帰ってこなかった空生が、この街にふらりと戻ってきて、少し経った頃。
首にマフラーを巻いた、短い髪の、クラブに似つかわしくない女が、ルナにやってきた。
誰かを捜しているらしく、人混みの中、きょろきょろしては、所在なさげに突っ立っていて、邪魔になって、人にぶつかるを繰り返している。
「ー崇、あれ、どう思う?」
どこかのお嬢様です、みたいな、洗練された装い。
ルナには特にハードルは設けてないけど、 人種が違う。
絡んでくださいと言っているようなものだ。
厄介な感じだった。
「へ?」
獲物に逃げられ肩を落としている崇に意見を求めれば、惚けた返事をするから、顎で後ろを見ろと合図する。
「ーあんだよ…」
面倒そうに振り返った崇だったが。
「ーあ!」
すぐに思い当たることがあったのか、声を上げた。
「何?知ってんの?」
俺の声なんて耳に入らない崇は、スツールから飛び降りて、さっさと女を迎えに行った。