Live as if you will die tomorrow
その様子を、カウンターの奥から、傍観していたのだが。
ーあいつ、何やってんだ?
崇が声を掛け、女が頭を下げ、崇がこっちにおいでよと誘い、女がいえいえと手を振る。それを数回繰り返して、崇は説得を諦めたらしい。明らかに戸惑っている相手の手首をがしりと捕まえ、こっちに向かって歩いてくる。
満面の笑みで。
「燈真ぁ、なんか軽いの作って。この子に。」
崇が指差した『この子』は、カチンコチンになったまま、今の状況を掴めないでいるようだ。
「いいけど…崇の新しいお相手?」
普段、派手で頭の悪そうな女ばかり侍らせている崇にしては珍しい、知的で、同時に面倒そうな女。
「珍しいね、こんなのタイプだったっけ?」
屈んで聞こえないように訊くと、崇は掴みっぱなしだった相手の手を解放し、スツールに腰掛けた。
「いや、この子は零に会いに来たんだよ。」