Live as if you will die tomorrow



普段大人しい彼女のことだから、相当勇気がいったに違いない。


崇は何も言わないが、同情の眼差しをミサキの背中に向けている。



「燈真、バーボン。」



俺もつられてそのまま見ていた為に、空生が不愉快そうに繰り返した。


「…悪い、今作る。」


気の利いたフォローのひとつやふたつ、してやっても良かったのかもしれないが、ミサキは他のファンと同じには見れない何かが、自分の中に燻っていて、調子が狂う。

ーなんだ?


違和感があるが、なんとも形容し難く、平常心を装いながら、グラスに氷を入れた。



たかだか小娘。

大人しく眺めているしかできない、非力な学生。

他に何があるって言うんだ。


ゆっくり静かに、でも確実に湧き上がってくるこの感情は。


強いて言うなら。



ー苛々する。
< 150 / 314 >

この作品をシェア

pagetop