Live as if you will die tomorrow
普段大人しい彼女のことだから、相当勇気がいったに違いない。
崇は何も言わないが、同情の眼差しをミサキの背中に向けている。
「燈真、バーボン。」
俺もつられてそのまま見ていた為に、空生が不愉快そうに繰り返した。
「…悪い、今作る。」
気の利いたフォローのひとつやふたつ、してやっても良かったのかもしれないが、ミサキは他のファンと同じには見れない何かが、自分の中に燻っていて、調子が狂う。
ーなんだ?
違和感があるが、なんとも形容し難く、平常心を装いながら、グラスに氷を入れた。
たかだか小娘。
大人しく眺めているしかできない、非力な学生。
他に何があるって言うんだ。
ゆっくり静かに、でも確実に湧き上がってくるこの感情は。
強いて言うなら。
ー苛々する。