Live as if you will die tomorrow


この気持ちが何に繋がるのか、なんて、理解したくなかった。


知らない。

こんなのは、俺の知らない人種だと、そう思い込みたいのに。

俺の中に、まだ居座るあの人の影。








「ミサキちゃん、お兄ちゃんが連れて帰っちゃった。」



ルナに入り浸るミサキを迎えに、兄と名乗る人物がやってきた時、俺は別の客の相手をしていて、目の端で捉えるしか出来なかった。

それで、客もミサキも居なくなったのを見計らって崇に訊ねれば、不貞腐ったような顔で答える。

本気かどうかは別として、女好きの崇はなんとか手中に収めたいと思っているらしいから、がっかりしたのだろう。


でも家族、とか、出てくると。



「面倒だね。」


そう言っても、崇の反応は返ってこなくて、どこか上の空だった。


俺もそれ以上、訊かなかった。


飛び散っていたから気付かなかった『自分の中の何か』が、段々寄せ集まって巨大になってきていて、それどころじゃなかったのだ。


その内に、演奏を終えた空生が、ステージから降りて来た。
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