Live as if you will die tomorrow
「お疲れ」
崇がまず最初に労いの言葉を掛ける。
「一人で飲んでるの?珍しいね。ギムレット頂戴。」
空生はそんな崇を一瞥してから、カウンターに立つ俺を見て、最終的に俺の前、崇の横、に座った。
「いや、さっきまで、かわいいミサキちゃんが居ましたよ?」
「誰だよ。」
他人にも自分にも興味のない空生が、 心底くだらない、とでも言うように吐き出す。
その時。
そのやりとりに、燃え出す火。
俺の中で燻っていた、いや、それを上回るほどの感覚が、飛び出してきた。
まるでー答え合わせしているようだ。
反応するかしないか。自分の心を試す。
その記憶に映るのは。
引っ掛かりから始まった、見たくはなかった自分の中に残る人。
「お前のステージの時だけ来ては、そこの席に腰掛けてずっと見てってくれてる零のファンだよ。」
崇がそう言った時。
カタン、音を立てて、ギムレットを、空生の前に置いた。
「あんだけしつこいんだったらターゲットにはならないけど、利用はできるかもね?」