Live as if you will die tomorrow









「いつも俺を観に来てくれてるんだって?」



俺の指示が出てから数日後。

空生は、ミサキとの接触を図った。

あまり目立つと、零のファンからミサキがリンチに遭う可能性は高い。
だから、人目のつかない場所。

ミサキの去り際に、黒のパーカですっぽりフードを被った空生が、すれ違い様に声を掛けた。


帰ろうとしていた所、まさにクラブを出ようとしていた入口付近で、ミサキは一瞬誰だろうと訝しがるような眼差しを空生に向けた後、目が飛び出そうなほど驚いて、そして固まった。



ステージでは、零の後のDJが演奏していて、そこから降りてきていない零は、まだバックにいると誰もが思い込んでいた。

だから、まさかの零の登場にミサキが驚くのも無理はない。

口をパクパクさせて、指で差そうとして引っ込めて。



ー少しだけ、夢を見させてあげる。



俺はそんな成り行きを横目で追ってから、カウンターに戻った。




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