Live as if you will die tomorrow
「あいつ、何者ですか。」
単刀直入な問い。
若いねぇ、と、こっそり嘲笑った。
「零が、DJの他に???初耳だな、そりゃ。俺はなーんにも知らないよ。なぁ?」
わざとらしく反応する崇は、俺の事をちら、と見て、目配せしてくる。
「そうだな。」
言いながら俺はグラスにスピリタスをなみなみと注いだ。
零絡みのこうしたことは、初めてじゃなかった。
空生の生き方は敵が多く、俺らがフォローすることも、まぁあった。
特に多いのは、クラブの零の姿を知る人間。
まぁ、正当に責めることができる権利なんて、誰も持っていないから、逆恨みっぽいものが多かった。
詐欺の方では、訴えられることはまず無かった。
勝率はいつも100パーセント。
その上空生自体が割と『消える』から、所在を突き止められることはない。
だから、今回みたいに『家族』が来るなんて事は、珍しい。
こんな奴には良いことを教えてやりたい。
「本人の意思なんだよ。」
一瞬にして、落ちた若い青年に、囁くように言ってやった。
いるだろ、延命措置をしない人間。
結局の所、人間は自分のことは、自分で決めるんだよ。