Live as if you will die tomorrow
あとお前の『家族ごっこ』もね。
「藤代彰仁さん。何を勘違いされているのか知りませんけど、ここに零は居ないし、貴方みたいな人を置く訳にもいかないんです。」
藤代はフルネームを呼ばれて一瞬目を見開いたが、直ぐに怒りで食いしばった歯の隙間から、息が漏れる。
だから俺は益々満面の笑みを浮かべて、『かわいそう』な男に向けた。
「もう二度と、来ないでください、ね。」
それが合図だったかのように、取り押さえたスタッフが、藤代を立ち上がらせて、裏口に引っ張っていく。
「お待たせ。何飲まれます?」
一連の出来事は、気を利かしたDJのお陰で音楽の裏に隠されて、カウンター周りにいた人間しか気づいていなかった。
その客たちさえも、男の発した言葉の全てを聴き取れた者はなく、直ぐに落ち着きを取り戻す。
俺も何事もなかったようにーいや実際無かったんだ。
カクテルを作る。
月みたいに、明るい色の。