Live as if you will die tomorrow
心地良い季節が、終わりを迎え、染まった葉が次々と散り、吹く風が温度を完全に失う頃。
「零が帰ってくるよ。」
ルナのカウンターで、思い出したように言うと、隣で氷を割っていた葉月と、席に着いてグラスを呷っていた崇が、同時にこっちを見た。
「え!?マジ?」
「嬉しいっ」
そしてお互い顔を合わせて。
「ちょっと、マジでウザいんだけど。」
「うるせぇ声で騒ぐんじゃねぇよ葉月。」
悪態を吐く。
二人共似た者同士だと、以前からずっと思っているが、口に出すと面倒なので、相変わらず傍観者を決め込みつつ、ちょっと前に掛かってきた空生からの電話の内容を回想する。
ー「5年ぶり?」
ー《もうそんなになるかな。》
ー「もうこっちに定住する気になった?」
ー《まさか。》
小さく笑った後。
ー《今回は弔い。色々手続きが必要でね。》
いつもと何も変わらない口調で、養父が死んだんだ、と空生は話した。