Live as if you will die tomorrow
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零の帰って来て初のイベントの日は、記録的な動員数で、人が出入り口までパンパンに入り込んで、規制を掛けなければならない程だった。
気紛れの零だから、出てこない事は十分にあり得るし、遅刻の常習犯でもあって、出始めの頃とは違い、0時ぴったりの登場は珍しい。
それなのに、ファンは減るどころか増える一方だった。
しかも【本業】の方でも、良い稼ぎをしているから、空生は多忙を極めていた。
それでも、本質はやはり好きなのだろう。
演奏をしに、ふらりとやってくる頻度は高かった。
この時、俺は帰って来たばかりの空生に、オンブラの仕事をまだ頼んではおらず、本人が勝手に相手を見繕っている、という状況だった。
そんな理由(ワケ)で、俺はまだ、空生のターゲットを知らなかった。
そして、訪れた、あの金曜の夜。
いつもと、何も変わらない筈だった日常が、少しずつ、狂い出した日。