Live as if you will die tomorrow
「そーいうわけだから、借りるねー」
そして、くるりと女を回転させ、目が点になっている他の客を振り返ることもせずに、空生は堂々と女連れでルナから出て行った。
こんなにもあっという間の出来事。
カノンの顔が、ファンには割れていないといいのだがとふと思った。
嫉妬と妬みに巻き込まれれば、無傷では済まない。
「っんだよ、アレ。」
苛つき気味の崇が、ガン、とわざと煩い音を立てながら、スツールに座り直し、グラスを呷った。
「知り合いかな?」
「零にあんな知り合いはいない。」
即答する崇を前に、我ながらフォローが下手だなと苦笑する。零のファンならわからないでもないが、カノンは、零のライブなんて観ていなかった。
つまり零の事は知らないということだ。挙句零を目の前にしていても、スローペースに変わりはなかった。知り合いであれば、何かしらのリアクションは見られたはずだった。