Live as if you will die tomorrow
「何それ、どんな女が名前呼んだだけで腐るっていうのよ。」
少しでも情報を得たい葉月が、いつもの調子を装いつつ、聞き出そうと試みるが。
「お子ちゃまの葉月にゃ、わかんねーよ。」
と、腑抜けながらも、崇にはぐらかされる。
「チッ、バカシの癖に」
俺にだけ聞こえる声で、舌打ちをする葉月。
「葉月、奥の客が呼んでる。」
「あれ、なんか間違ったかな。」
そこに、俺が、仕事の方に軌道修正してやると、すんなりと葉月は仕事に戻った。
「…そんなに会いたいなら、会いに行ってくればいいだろ。勤め先も直ぐそこなんだし。」
「………」
再び、近くに誰もいない、二人だけの会話が始まる。
「駄目なんだよ。別れ際がいけなかった。」
一瞬の沈黙の後、崇が大きく溜め息をついた。