Live as if you will die tomorrow

葉月の中には。



「…そうなんだ。」



ママ=母親として、理解できていたということか。



ぽつ、と納得したような返事をして、絵本を取りに来た乳母と共に部屋に戻る。



「なんだ …嫌いとか言っておきながら、寂しかったんだ…」



一人きりになってから、つい、口に出てしまった。


あんな母親でも、あれだけ接触がなくても、葉月の中には、『母親』として認識されていたことに、正直驚いていたから。




「あいつ、馬鹿だなぁ。」



葉月、いや、子供っていうのは、どうして、容易く騙されるんだろう。


人を信じ過ぎるからか。


それとも、親の刷り込みなのか。


だとしたら、寒気がする。


子供っていうのは、親の言うことを、全て信じ。


そして、何もしてくれなくても、愛してしまうように出来ているのか。



どんなに嫌いでも。


葉月のように、知らず識らずの内に求めてしまう。


そんな呪いが、かけられているのだろうか。



「俺にも?」



言った後で、有り得ねぇと自身を嘲笑った。



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