Live as if you will die tomorrow
ーやめろ。


「はぁ?何が違うって言うんだよ。わっかんねーな。零のことを好きだろうが何だろうが、いつもみたいに嫌がられても会いに行けばいいだろ?」



念じるような心情とは裏腹に、俺は笑いながら、崇に問う。


が、崇は黙って、答えようとしない。



「なんだよなんだよ、別に本気で好かれたい訳じゃないんだろ?ただ奪えばいいだけだろ?毎回そうじゃないの?どうせ零目当てなの分かってんだから。」


崇はクル、クル、と手に取った瓶を弄びながら、俺と目を合わせない。


「それとも何?嫌われたくない、とか?」


からかうように訊ねれば、崇の顔が暗がりでも分かる程、カ、と赤くなった。


真っ白、だった。


その反応を見て、頭の中が真っ白になる程、俺が、戸惑った。

直ぐに言葉が見つからなくて、出てこなくて、二人の間に珍しい沈黙がたちこめて。


その沈黙を破ったのは、崇の方だった。



「…俺も、参ってんだ。」


そう呟いて。


手にしていた瓶を、きちんと立たせると、自分も席を立った。



追い掛ける言葉も見つからず、俺はただ、温度のない目で崇の背中を追った。



何かが、狂い始めている気がしてならないのに、その正体が、俺等三人の繋がりよりも、強いだなんて、認められなかった。


そんな感情は、存在しないと高を括っていた。



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