Live as if you will die tomorrow


あの頃若かった自分と、今の自分。

変化したのかと訊かれても、別に、と答えるだろう。


あの頃だって狡猾だった。
冷淡だった。
世界を斜に構えて見ていたし、それは今だって変わらない。


いつも、変わるのは、周囲。

俺じゃない。






ーここは…


車を適当に走らせて、やがて出てきた海に囲まれた小さな島。


目指してきたのではないのに、考え事をしていたせいで、つい慣れた方向に来てしまったようだ。


少し前まで認知度の低かったこの島は、いつの間にか口コミで広まって、真夏には、沢山の人間がやって来るようになった。

だがこんな寒い日に、ここに来る物好きは、今日は俺以外居ないようだった。






車を停めて、寒々しい白い砂浜を、足を取られないように進む。

プライベートビーチのような場所が小山を越えた向こうに広がっている。

俺はただひたすらに、そこに向かって歩いて。



そして、空を仰ぎ、海を見た。




波は穏やかに、押したり、引いたりを繰り返している。

空を映し出すように、青く、輝きながら。



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