Live as if you will die tomorrow
冬、に入る頃。


それより、僅かに前くらいか。



新しい足音。


めっきり家に帰ってこなかった父親が、新しい女を連れて来た。


俺と6個しか違わない。




「初めまして。柊(しゅう)と言います。よろしくね。」



玄関で、柊は俺と、俺の後ろに隠れる葉月に、そう言って笑いかけた。


柊は緩いワンピースを着ていて、ショートカットの細っこい女だった。


今までの、女とは、全部が違った。



年齢も。

髪の長さも。


性格も。


それから。



「燈真君、もう随分背が高いのね。びっくりしちゃった。あ、でも高校三年生か。って、受験生じゃない。大変!」




俺を見る目も。



「有難いですが、別に、心配して頂かなくても大丈夫ですよ。」



胡散臭く感じて、当たり障りのない返事をして、へらりと笑った。



ぐいぐいパーソナルスペースに入り込もうとする、この女は苦手で。


俺の方から、線を引いた。



「しゅうちゃーん、ご本読んでー」




一週間もすれば、葉月はすっかり柊に懐き、柊もそんな葉月の必要によく応じた。


よく笑い、よく話し、よく遊び、よく食べる。


柊は、いつも楽しそうだった。


そんな人間は、この家に今迄居なかった。
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