Live as if you will die tomorrow







ルナに着いた頃には、既に夜は明けつつあって、薄っすらと青白く染まる風景に、空生は今独りになっていないだろうか、とふと思った。


「あ、燈真。」



入り口に車を乗り付けると、中から出てきたのは俊哉だ。

ごついだけの顔が、やや困り顔になっている。



「お疲れ。なんか、葉月がやらかしたって聞いたけど。」


車から降りて、歩きながら言えば、俊哉が頷く。



「崇の例のカノジョが来たもんで、俺気を利かして崇の所へ連れてったんだけど。なんか、葉月が間違ってノンアルコールじゃなくて強いの出しちゃったらしくてな。そのカノジョ、気を失っちゃったんだよね。今スタッフルームで寝かしてるけど、大丈夫かな。救急車とか呼ぶべきかな?」




「…間違って…ね。」




崇の電話からの様子だとそんなに重篤ではなさそうだった。

飲んだ量もそんなでもないようだし。

見てみない限りはなんとも言えないが、恐らく医者に罹る程ではなさそうだ。



「何?燈真、なんか言った?」



一緒にルナに入って、奥へ向かおうとした俺と、分かれる形になった俊哉を振り返って首を振る。



「何も。あとは任せて。」



それだけ言えば、俊哉は安堵の表情を浮かべ、元の位置へと戻って行った。



ルナはまだ大勢の客で賑わっていて、俺はそれを上手くかわしながら、カウンターにちらりと目をやる。



と。

涼しい顔して接客している葉月が目に入り、呆れた。


俺にそっくりだな、と。
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