Live as if you will die tomorrow



息を呑んだ花音は、ついさっきまで怯えきった顔をしていたというのに、零の名前を出した途端、俺を睨み付けた。


ー本当、苛々する。


静けさの中、部屋の隅に置いてある冷蔵庫がブーン、と機械音を響かせた。


そんなに余裕があるのなら。



「…そうだとしたら、、何か問題があるんですか?」


だったら気付かせてあげる。


「…花音ちゃんはさぁ…零のことが好きなんだよね?」


その感情自体が、空生にとって毒だってことに。


「あ、やっぱり図星?」


真っ赤に染まった顔。

少し焦ったような顔。


そうそう、俺の方が優位に立ってんの。

さっきみたいな顔してんじゃねぇぞ。



「零は、駄目だよ。」



そこまで言ってから、俺は煙草を咥えて、火を着ける。

そこへ、花音が恐る恐るといった調子で口を開いた。




「…葉月さんと、、、付き合ってるから、、ですか?」




出た、葉月の牽制。




「葉月がそう言ったの?…あいつも馬鹿だよね。」




妹の愚かさが露呈して身内として情けない。

だから近付くなと言ったのに。




「零は、そーいうの、受け付けないから、好きになったって無理なんだ」




それは、あいつだってよくわかってる筈なのに。


余計な事に気を取られていると、花音が頷いて。



「……本人も、そう言ってました…」



目眩がしそうな事実を、明らかにする。



ー空生、お前…一体どこまで話したんだ?



「へえ、花音ちゃんには話したんだ。これまた珍しいね。」



お前が勝手なことばっかりやるから。

後始末、本気で大変だ。


「なんで、そうなったのかは、知ってる?」


「…いえ。。。」


「それは、さすがに話してないか。」



ー感謝しろよ?空生。


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