Live as if you will die tomorrow



空生の言った、【清算】の次の日の夜。


23時55分。


「あ、零。なんか、久々。」


空生が静かな顔をして、ルナの裏口から現れたのを、崇が出迎える。


「何飲む?」


俺も中々の上機嫌で、カウンターから声を掛ければ。


「アブサン」


答える空生の注文に、崇と、俺の手が、一瞬止まる。




「…珍しいね?初っ端から?そのままは、ここではあんま出さないけど?」


「ないの?」


「いやあるけど…アブサンカクテルにする?」


俺の勧めにも、空生は従わずに。


「ストレートで、頂戴。」



そうとだけ言って、崇の隣に腰掛けた。

零の存在に、数人の女達が気付き、遠巻きに色めき立つ。

それを横目に、俺はざわざわと胸騒ぎがするのを感じつつ、グラスを用意した。



「何アブサンなんか頼んでるんだよ。零の癖に生意気な。」



崇が茶化して、空生に振るが。


「やっと崇と離れられると思ったら嬉しくてつい、ね。」


「はぁ?何?!どういう事だよ?もう行っちゃうわけ?!」


瞬時に完全にはぐらかされて、ついでに空生のペースに持って行かれている。



「まぁ、こっちのゴタゴタは取り敢えず終わったから。」


「なんだよなんだよ。いつ行くんだよ。」


「明日。」


「出た、出ましたよ。恒例の明日いなくなります。マジふざけんなよ、そのサプライズ的別れ。」




< 239 / 314 >

この作品をシェア

pagetop