Live as if you will die tomorrow



「お弁当!作ったのに、忘れて行ったみたいだから届けに…っくしゅ。」


相変わらず細っこい柊は、コーディネートを間違えたらしく、寒そうに肩を縮めた。


朝は暖かそうに見えた一日は、太陽が雲に隠されたことによって多いに天気予報士の予想を裏切り、冷たい風が時折木々を揺らしていく。

薄目のコートで、首回りに何もなし、という彼女の出で立ちは、見ているこっちも寒くなる。



「学食があるから大丈夫なのに…わざわざすいません。」



差し出された包みを受け取りながら、とりあえず御礼を言った。


何故か、柊は俺に毎日弁当を作る。

頼んでもいないし、必要ともしていない。

なんなら、受験生だから、ほぼ授業はない。

自主学習ばかりだし、来なくても良いし、午前中で帰ることもしばしば。

かと言って家にいると、柊と葉月のコンビで、気が滅入りそうな為、学校に行って居る事にしていた。


ー生徒会に呼ばれてて良かった。実は学校にはそんなに居ないってバレたら面倒そうだし。


弁当は悪いから受け取ってはいたが、大抵は人にやったりしていて、評判は良かった。


「あ、そっか。そうだよね…でも、なんか、勿体無いかなぁって思って来ちゃった。とか言って、実は燈真くんの高校を覗いてみたかったっていうのが本心。」


えへへ、と悪戯っぽく笑う柊は、一体何がしたいのかわからない。


「…ありがとうございます。気をつけて帰ってくださいね。」


一緒に居るのを見られ、誰かに説明をするのは面倒なので、早く帰ってもらいたい俺は、拒否するように小さく頭を下げた。
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