Live as if you will die tomorrow
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その夜。
「しゅうちゃーん、ごはんおいしーい」
隣の席に座る葉月が、頬にご飯粒をくっつけ、慣れない箸をバッテンにしながら、笑った。
「本当?そしたら私、ここのシェフ目指しちゃおうかな!?」
俺の斜め向かい、つまりは葉月の問い面にいる柊が、嬉しそうに葉月に言った。
「おー、良いねぇ!…お兄ちゃんも、おいし?」
葉月は大きな目を、くるりと柊から俺に移して、訊ねる。
「…美味しいよ。けど、柊さんがシェフになってしまったら、ここの家政婦さん達はお仕事がなくなって困るだろうね。」
「どうして?」
葉月は不思議そうに目を瞬かせた。
「だって、仕事がなかったら、ここに居る必要がないだろ?」
「…じゃあ、凛ちゃんとかも居なくなっちゃうって、こと?」
「…仕事がなくなったらね。」
「やだ!!!しゅうちゃん、シェフになったらダメだよ!」
俺達のやりとりを、僅かに曇った表情で見守っていた柊は、急に振り返った葉月を見て、慌てていつもの顔に戻る。
「あ…うん。もちろん!ただの冗談だよ!」
言いながら、あはは、と取り繕うように笑った。