Live as if you will die tomorrow
「お兄ちゃんは、しゅうちゃんのこと、嫌いなの?」
部屋に戻ろうとした俺を、葉月が追いかけて来て、階段の中腹辺りでシャツの裾が捕まった。
勿論、主である俺も逮捕される。
面倒な質問をしてくるな、と振り返れば、葉月は膨れっ面で。
「しゅうちゃん、お兄ちゃんと仲良くなりたいなって言ってたよ。」
どうも、柊の肩を持つ気でいるらしい。
「…嫌いじゃないよ。」
俺は、満面の笑顔で安心させるように葉月を抱き上げた。
あやすようにぽんぽん、とその背中を叩くと、葉月は当たり前のように俺の首に手を巻きつけてくる。
「でも、僕は、葉月みたいに、誰かと仲良くするのが上手じゃないんだよ。時間がもう少し必要なんだ。」
「ーふぅん。そっか。」
葉月は納得したように頷き、今度は俺の右肩に顎をのっける。
「ところで、葉月。柊さんは、僕と仲良くなりたいって言ってたの?」
「うん。」
「それを葉月から僕に伝えて欲しいって言ったの?」
「うーん…うん。なんか、お兄ちゃんに嫌われてるのかなぁ、って悲しそうに葉月に言うから、、葉月が訊いてあげよっか、って言ったら、うんって言ってた。」
「そっか。ありがと、葉月。」
葉月は俺が笑って居ないことなんて、気付かずに。
「うん!」
大役を果たしたことからの満足感で、肩を震わせた。