Live as if you will die tomorrow
「うわ、うるせー葉月が来たか。」
スツールを回転させて、崇が葉月を振り返った。
「何よ、私が居たところに、崇が来たんだから、反対でしょ!」
プンプンしながら、葉月は崇の隣に、よじ登るようにして腰掛ける。
平均より小さい葉月にとって、このスツールは背が高いのだ。
「にしたって、真っ赤っかだね、髪。」
落ち着くと、葉月は再び、同じ話題を振った。
「前も赤かったよ」
崇は、前に向き直って、俺が出したグラスを手に取った。
「こんなに赤くなかった。陽に当たると赤かったけど。」
「ダチが、美容師になったからな。実験台になってやったの。」
「へぇー、美容師さんか。良いね。私もやってもらえるかなぁ。」
「葉月はダメ。」
「なんで!?」
「チビすぎる。」
「はぁー!?何それ!」
低レベルな争いを前に、俺は並んだグラスを磨く。
崇の美容師の友人は男だが、ルナについては一切知らない。
詳しくは知らないが、中学時代、崇が荒れてた頃の知り合いらしい。
口が堅い人間で、下手な詮索もしない。
だからこそ、付き合いが続いたんだ、と崇は言っていた。