Live as if you will die tomorrow
「崇のばーか」
「葉月のばーか」
「なっ!馬鹿じゃないもん!」
葉月には、日が沈んだ後の、ルナへの立ち入りを許していない。
成人すれば、ゆくゆくは、ノッテディルーナの方に入ってもらうつもりではいたが、それも、本人が望めばの話で、何か他のことをやりたいというのであれば、それはそれで大歓迎だった。
元々、負けん気の強い女だ。
兄でも手を焼いている位だから、同じ職場になれば、爆弾を抱えているような状況になるのではないか、と懸念しているからだ。
勿論、オンブラに携わせる気は露ほどもない。
「崇なんか、学校行けなかったんでしょ!」
「俺は行けなかったんじゃなくて、行かなかったんだ。」
だからこうして、仮にもオンブラのメンバーと接触しているのはいかがなものか、と思わなくもないのだが、そこは崇の明るいキャラクターがカバーしてくれている。
何しろ、扱いが上手い。
葉月も、口では生意気言っていても、実際崇にかなり懐いている。
兄としては、ま、いっか、という感じだ。
「嘘だね、頭が悪過ぎて行けなかったんでしょ!」
「いや、反対だね。頭が良すぎて誰も俺に授業を教えられなかったんだ。」
「そういうの屁理屈って言うんだよ。」
「葉月、宿題は終わったの?」
ぎゃーぎゃー五月蝿いやりとりの合間に、保護者としての一撃を入れると、見事に葉月がピタリと黙った。