Live as if you will die tomorrow
俺が、厄介払いをした意味を、崇も気付いていた。


「何か、引っかかること、あった?」


グラスを傾けたまま、訊ねる崇に、俺はさっき受け取ったメモの内容を頭の中に浮かべていた。



「いや…俺が言わなかったのに、よく娘の情報も入れてくれたなと思った訳。それもかなり詳細に。」



「当然でしょ。今回は、そっち側から攻める方が一番潰れ易いかなと。戦法を考慮に入れてたから。」



へへ、と得意気な顔を隠すことなく、崇は笑った。



指示された人間を中から破滅させるのが、オンブラの常套手段。


家族がいれば、家族崩壊まで持ち込んで、自滅させるというのも、一つの手だった。


崇と初めて会った時、相手にした男は、そうした標的の下っ端の下っ端で、雑魚。


まだ若かった上に自分の状況を理解していなかったから、情けついでに目を瞑って逃がしてやったのに、ノコノコと馬鹿みたいに俺の前に現れやがって。


二度目はない。


最近は、一度目もないけれど。



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