Live as if you will die tomorrow
数分後。
空生は、ルナに慣れた崇よりも、慣れた足取りで、ルナに入って来た。
初めて来た訳じゃないことは知っているが、夜と昼とでは、店内の雰囲気は大分違う。
夜間には隠れて見えないものが、今の時間帯は見えたりする。
その上、今入ってきた所は裏口。
だから、きょろきょろと物珍しそうに見回す仕草があってもよさそうなものを、空生は独特の雰囲気を纏いながら、真っ直ぐこちらに向かって歩いて来た。
その後ろに、崇がまたしてものあのドヤ顔で付いている。
「ルナへようこそ」
俺は、空生が立ち止まるのを見計らって、カウンターから出て行った。
「と、言いたい所だけど、制服は今度から止めてね。」
金色の髪は、今黒いキャップに半分隠されていて。
ワイシャツの袖は捲り上げられているが、暑いと本人が感じているのかは分からなかった。
それくらい、表情が無かった。
「アオ!こいつが前に話してたルナのオーナー兼バーテンの燈真。」
無言で俺を見つめる空生に、崇が紹介するが。
ーこいつって…
ルナで俺のことをこいつ呼ばわりするような奴は、崇以外居ないだろうなと、頭が痛くなった。