Live as if you will die tomorrow
23.5
空生は、思いの外、早くに俺の手に落ちた。
表情の乏しさは相変わらずだったが、徐々に心を開いていっているようだということは、見て取れた。
最初は、機械しかいじらず、必要最低限の言葉しか発しなかったのも、数ヶ月経った今では、何かを訊ねれば大体は答えてくる迄になったし、生意気も言う。
ー崇と俺にだけ、だけど。
野良の餌付けみたいだ、と思う。
自分に近付く人間が、危害を加えないと知って、ちょっとずつ距離を縮め、慎重に確かめていく猫を相手にしてるようだった。
予想外だったのは、あれの頭が良い事と、DJの素質。
ミコト達は、基本的なことだけを空生に教えて、そのセンスの良さに脱帽していた。
プロのDJ二人に、うまく行けば、ルナを任せられるとまで言わせた空生の才能には感心する。
しかし。
ーやっぱり空生の才能は、惹き付ける方だ。
DJとして、客を魅了させるのも勿論手だが。
オンブラでも一役買わせたい。
さて、どうしようか。
仕方ない。
崇みたいな枠をもうひとつだけ、作るか。
ーあいつもきっと、俺を裏切らない。
そう、考えていた矢先。