Live as if you will die tomorrow
「あんだよ、バカヅキ。なんか良い文句でも思い付いたのかよ。」
「上で誰か寝てる!!!」
今回ばかりは、葉月の耳に、崇の声は届かない。
「あ、そっか。」
崇も漸く気付いたらしい。
「あの人だれ?!」
ませてはいても、恋の気配など微塵も感じ取られなかった妹は。
父親と俺と崇を見ながら育ったから、男というものを毛嫌いしているのかと勝手に思っていた。
「…ルナの新しいDJだよ。」
どうも、違ったらしい。
「すっごく格好良い!名前なんて言うの?教えて!」
俺の服を掴んで、キラキラした目で早く教えろとせがむ。
「ー零(レイ)」
「れい?」
口を衝いて出た名前に、背後に感じる崇の空気がピリッとした。
「そう。零。」
ゼロからスタートする、アオに相応しい名前だね。
空っぽからの、再生。