悲恋-HIREN-
「紗和、お前しっかりしろよ。」
「だ、だってぇ………。」
「……………紗和?」
後ろから春日の声がした。
「春日…………。」
しかし春日はあたしではなく将希に視線を向けていた。
「その人誰?
俺は紗和の恋人の春日って言います。」
「俺は紗和のクラスメートの将希。
紗和、彼氏いたのか?」
「……………うん。」
将希と春日はずっと睨み合ってる。
「将希、仕事しなきゃ!!
春日も席に戻って……?」
あたしは二人をなだめた。
「ったく、紗和お前も仕事につけよ!」
あたしと春日は席に戻った。
「さっきの男、紗和は俺のものとか言ってたな。」
春日はボソッという。
「将希はあたしを齊さんから守るために言ったんだよ。
だから心配しないで?」
そんな辛そうな顔しないで……。
あたしまで辛くなる。
「俺が守りたかった………。」
「………うん。
次は守ってもらうね……?」
春日の気持ちだけで十分だよ…………