悲恋-HIREN-



「春日くんを信じたらぁ?


春日くんだって簡単に答えを出したわけじゃないと思うけど?」



那智は相変わらずポテチを食べながら話す。


言ってることは良いことばっかなのに。




けど春日はきっとたくさん悩んだんだろうな………。


あたしのせいで手術しなくなったらいる時間はこのままなんだよね………。



あたし春日にマイナスなことばかり言っちゃった………。



「那智、あたし行ってくる!!」



あたしは急いで鞄を持ち学校を出た。



すぐ近くの病院が今はやけに遠く感じる。





やっと病院に着き、春日の病室の前まで来て止まった。



『春日くん、大切な彼女ほったらかしにしていいの?』



中から声が聞こえる………。

たぶん看護婦の人と春日だ。



あたしは耳をすました。



『そんなに簡単に壊れるような関係じゃないんで。


それに紗和の為に外国に行くんですよ。』



春日は静かにそう言った。


あたしのため…………?




『そう♪

彼女さんのためって?』




『このままじゃ俺、早く死んじゃいますから。

そんなことになったら紗和を誰かに取られますよ。


だから一生俺の物にしとくんです。』



あたしの事を考えて決断してくれてたんだ。


あたしは向こうで自信満々に話す春日の言葉を聞いて泣いてしまった。


今まで一緒に居たのに全然わからなかった。


忘れてたんだ…………


春日は自分のために自分勝手なことをする人じゃなかったのにあたしは信じることできなかった…………。



『じゃぁ検温終わりね。

また時間になったら来るから安静にしてて下さいね。』



ガラッ



「…………あら?」










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