悲恋-HIREN-




それからあたしはいつも以上に早く病院に向かうようになった。


あと少しで外国に行ってしまうから。




あたしと春日は心の中で寂しさを募らせてく。


お互いに弱音は言えないから……。





そうして、春日は外国に行ってしまう前日になった。


あたしは学校があって見送りに行けないから今日が別れの日。


本当は学校を休んでも行きたかった。




「紗和!

そんな悲しい顔すんなよ。」



春日は笑おうとしてるけど顔が悲しんでた。



「春日…………頑張ってね。」



あたしは泣かないように必死でしゃべる。


ここで黙ると絶対に泣いてしまいそうだった。



「次に会うのは………

紗和が大学生のときか?」



春日は荷物をまとめながら話し出す。



大学生…………

そこまでの道はとても長いよ。

一年でも離れたら忘れてしまうんじゃないかって不安なのに三年も………。



けどね……………


「あたし春日を信じて待ってるから。

春日もあたしを信じて頑張って?」



あたしの想いはたった1つだよ。



いくら悲しい恋だろうと……

春日がいるならそれでいい。



同じ世界にいるなら………


それだけで幸せなんだ。






あたしはそのまま病室を出た。


春日の顔を見てしまうと決心が鈍くなってしまうから。



「…………紗和ちゃん?」



病院を出ようとしたとき誰かに呼び止められた。







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