悲恋-HIREN-
「紗和ちゃんこそ、彼氏とかいるの?」
海里先輩には春日のことを話していない。
まぁ話しても良いんだけどさ。
「いますよ♪
遠い場所にいるから会ってませんけど………。」
そう言うと海里先輩は悲しそうで心配そうな顔になった。
「ごめんね?
………寂しくない?」
「寂しいけど…………それは好きだからこそだと思うんです。
辛いとは思わないし、海里先輩や隆太がいるから楽しいですよ!」
辛いことじゃないんだ。
寂しくなったり切なくなったりするけど大切な人と心で繋がってるってわかってるから強くなれる。
「そっか♪
隆太くんはあそこでナンパしてるけどいいの?」
海里先輩は隆太のほうを指さしながら話す。
あたしは指さしたほうを見ると………
「ねぇ、そこの女の子♪
俺とデートしない?」
………………バカ。
なんでありきたりな言葉しか言えないんだか。
ドラマ見すぎなんだよ。
「海里先輩、話聞いてくれてありがとうございました。
あたしは仕事に戻りますね。」
あたしは立ち上がり隆太のとこに向かった。
「隆太、お客様が困ってるでしょ!!」
「あぁ?
嫌がられてないよなぁ?」
『え………えっと………。』
絶対嫌がってる!!
「隆太、それぐらいにしてよ。
お客様、お席へご案内しますね。」
あたしは隆太にナンパされてた女の子を席に案内した。