悲恋-HIREN-



あたしは毎日、届かない手紙を書いてる。


いつか春日が住所を教えてくれたとき全部一気に送ってやるんだ!






そして今日が春日の手術の日でもある。


春日の手術が成功しても電話が来るかはわからない。



けどあたしは携帯を常に持ち歩いていた。



「紗和ぁ、心配しすぎー♪」


那智はあたしの行動を面白がってる。



「だってぇ〜………。」




「少しは冷静になりなよ。

それじゃ春日くんが可哀想でしょ。」



那智は冷静に話しあたしを勇気づける。


けど那智が言うことはあってる。


あたしが冷静にならなきゃ。



「那智ぃ〜!」



あたしは涙がでてきた。



「はいはい。次、サボろ。」


那智はそう言いあたしを屋上へ連れて行ってくれた。



「ん〜、涼しい♪」



いやいや、寒いから!!

10月だよ!?



「那智、あたし不安だよ……。」



そう言うと那智は優しくあたしを抱き締めてくれた。



「大丈夫だって……。

あんたは春日くんを信じてれば良いの!

それにさ、あたしがいるでしょ?」



那智はそう言ってあたしの頭を撫でてくれた。


春日がいなくなってから初めて人の温もりに触れた………。


今あたしを抱き締めて癒してくれるこの温もりはあたしにとって重要なもので………


あたしの不安を優しく溶かしていくかのように暖かかった。



那智がいるからあたしは学校に来ることができる。

今、あたしの求めてる言葉をくれる。

大好きな友達…………。




「ありがとう………」







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