悲恋-HIREN-



あたしは不安になりながらも話した。


目の前にいる那智も心配そうにあたしを見る。



「おばさん、春日の手術どうだったんですか………?」



「……………成功したわよ。」



『成功』したんだ………。


春日は生きられるんだ……。



よかったぁ……………



「それで今、春日に替わったほうがいい?」



「いいんですか……!?」




「えぇ。

じゃぁ替わるわね。」




そしておばさんの声が聞こえなくなって少したつと愛しい人の声が聞こえた。



「もしもし?」



「か……すが……?」



あたしは久しぶりに春日の声を聞いてたくさんの涙がでた。



「紗和、泣くなよ………。


……………俺、決めたんだ。

1年でリハビリを終わらせてお前のとこに戻る。


それで紗和と一緒に学校生活を送る。」




春日はいつも1人で決めていく。

あたしに心配をさせないために………。



あたしが前に一度だけ言った……言ってしまった言葉を春日は忘れてなかったんだ。



『春日と一緒に学校生活を送りたいな!』



その言葉を言ってしまってからあたしは後悔した。


春日は優しいからきっとあたしの為に凄く悩んでしまったのではないかと思ったから。



「春日、あたし待ってるよ………。」




「…………ん。


これからも連絡とることできないかもしれない。」




「それでもいいよ………!


時々でも春日の声が聞けるだけでもいい!!

生きてればもう十分だよ!」










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