悲恋-HIREN-




あたしは春日の病室に戻った。


「おかえり、紗和。」



「ただいま!!

アイス食べよう?」



あたしは春日の好きなバニラのアイスを渡す。



「ありがとう。」




「春日………早く良くなるといいね………。」




治ることはないとわかっていても心から治ることを祈ってしまう。



「…………うん。


心配しないで。」



そう言い、また力なく笑った。


春日の笑顔を見ると胸が締め付けられる。



「美味い。

なぁ、学校どうだ?」




春日はアイスを食べながら聞いてきた。



「学校?


普通だよ?勉強が大変だけど、もうすぐ文化祭だし。」



もうすぐ文化祭がある………。


カップル限定とかが多いしこの時期は結構カップルになる人たちが多い。




「文化祭かぁ………。

行こうかな?」




「え!?体は大丈夫なの?

無理しないで良いよ?」




「そんなに心配そうな顔しなくていいから。

たった1日ぐらい平気だろ。


それに、紗和がいつもいる場所見てみたいし。」



…………春日……。



「しょうがないなぁ。

じゃぁ先生に聞いてみるよ。」



とか言いつつ正直嬉しかった。



「正直じゃないなぁ。

とりあえずもう暗いから帰れよ。」



窓を見るともう外は暗かった。


だから秋は嫌いなんだよね……。

すぐ夜になるから、春日といられない。



「うん。

じゃぁまた明日来るね。」



あたしはさっき売店で買った飴を春日が横になってるベッドに置き、病室を出た。



「おい、飴は…………?」



「春日が食べていいよ。

じゃぁばいばい。」



そう言いドアを閉めた。










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