悲恋-HIREN-




「紗和、好きなら好きのままでいいんちゃう?

気持ちにけじめつくまでは春日を想っとればいい。」



………………優介……


あたしは優介のその言葉を聞き、やっと涙が出た。



「うぅ………ゆう……すけぇ…」



優介はあたしを優しく抱き締め、子供をあやすかのようによしよしとしてくれた。



「本当はずっと泣きたかったんやろなぁ。

紗和はめっちゃ優しいから泣けなかったんやね。」



優介はお母さんみたいな口調であたしの心の氷を溶かしていく。



「けどなぁ、那智や将希だってめっちゃ心配してたんやで?

那智なんか紗和の親友やん?
泣いとったわ…………。」



「優介!!

変なこと言わないでよ!!」



那智は顔を真っ赤にしながら優介に怒鳴る。



あたしが無理に笑ったから逆に皆に心配かけていたんだ………。



「自分のこと攻めたらあかんよ?

紗和は紗和らしくいろや。


俺や将希、那智と一緒にいるこの場所がお前らしくいれる場所やろ?」




那智、将希……そして優介。

この三人がいる場所があたしの居場所………



それを教えてくれたのは



あなたでした………………。









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