悲恋-HIREN-
15。
──────…………‥‥
「こっちの箱もいいなぁ。」
あたしは今、雑貨屋に来ています。
那智と一緒にバレンタインの買い出し。
優介へのチョコのラッピングに迷い中‥‥‥。
だってこっちの箱は大人っぽくていかにも優介って感じだし、けどこっちはラブって感じで良いなと思って。
「悩みすぎ〜。
優介にはこっちで良いんじゃない?
大人っぽくね♪
…………春日くんにはこっち。」
那智は優しい瞳でピンクの小さな箱を見せた。
「…………え?」
「紗和、春日くんのこと忘れられないでしょ?」
春日のこと……………
優介と話したりしてるとき、春日のことを思い出す。
あの白い部屋で話したことや仕草………。
今だって家に帰れば近くに春日がいるという安心。
優介といればいるほど春日を愛しく想う。
「那智……………
けどあたしは優介の彼女になったんだよ。」
あたしはそのままラッピングの箱を3つ買った。
優介、将希、そして春日の分。
渡すぐらいなら良いよね?