悲恋-HIREN-
「春日♪
これ、バレンタインの。」
そう言い、あたしはチョコレートケーキを出した。
結構苦労したんだよね………
お菓子作るのは苦手なんだもん。
「上手じゃん。
練習して良かったな♪」
「……………うん!」
春日がナイフでケーキを半分に切り食べ始めた。
「こっちも美味いよ。
やっぱ女の子だなぁ。」
「男の子だってお菓子作る人いるよー。
あたしは料理の方がいい♪」
分量とかいろいろ面倒だしね。
「俺は無理だなぁ。
そういえば、俺入学決まったから。」
とうとう決まったんだ………。
「良かったね!!」
なんて言いながら素直に喜べない自分がいる。
だって春日が学校に入学したら、あたしと優介がいる場面に春日もいるということになる。
いつもの四人が五人になるっていうこと………。
あたしと優介が二人のとこを春日にだけは見られたくない。
「さんきゅ♪
って言っても1年からだけどな。」
じゃぁあたしの後輩?
「じゃぁあたしは春日の先輩だね!!
楽しみだなぁ。」
「紗和先輩、よろしくなぁ。」
こんなふうにふざけながら今夜は過ごした。