mariage~酒と肴、それから恋~《2》
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入社当時は、同期で一緒に研修して、気の置けない仲間って感じだった。


“師匠”っていうのは、パソコンが苦手な百田に教えてあげたことあるから。


営業は新人のうちは資料作成は自分でやるのが決まりだったから、よく百田は資料作成に苦戦して残業になってた。


グラフの配置とか、色使いとか、文字のバランスとか
見た目のセンスがないって感じ。


見やすくなければ資料にならない。誰も見ないよ。って同期のよしみで資料作成を手伝ってあげたんだ。


残業の流れで、そのあとに二人で飲みに行って、奢ってもらったりもした。


そう、同等だったはずだ。


なのに何であたしが百田の下につかなきゃいけないの!?


“師匠”だなんて、誉められたって皮肉にしか聞こえない。


成功した同期を前に、おめでとうって気持ちより、惨めな気持ちになるのは、あたしの心が狭いからかな。


去年の末。同期(女)の結婚式に出席した。

これで、同期の女の中で独身なのは、あたしだけになってしまった。
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