mariage~酒と肴、それから恋~《2》
「ありがとう。自分で頼むよ。それより伊東さんのグラスも空きそうだけど、何にする?」

と、百田はメニューを伊東さんに渡した。


「百田主任、優し~」

キラッキラの瞳で百田を見つめる伊東さん。


百田はニコッと笑いかけて、他の同僚にもおかわりを勧める。

中心になっても、気遣いは忘れない。

感心感心。


二次会はカラオケ。

流れでついていくことになったけど、カラオケ得意じゃないあたしは盛り上がる同僚たちから離れて聞き役。

手拍子専門。


「楽しめてる?」

流行りの可愛いラブソングを女子たちが熱唱し始めると、グラスを持った百田があたしの方にやってきた。


「あ、はい」

座りやすいよう少しずれると、百田が隣に座ってきた。

深くソファーに腰かけたから、ソファーが沈みこんで、腕が微かに触れ合った。


…離れなきゃ??

一瞬意識するも、百田は特に気にもしてない様子。


同期で気安い関係だもんね。

腕くらい。あたしも気にしないようにしよ。


百田は、ふう、と息をついてあたしを見た。
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