mariage~酒と肴、それから恋~《2》
「やっと、佐藤と話せる」


「お疲れ様です。モテモテの主任さん」


「モテモテって、俺が?意味分かんないんだけど」


嘘つけ。モテてる自覚ない訳ないじゃん。


「百田主任も、満更でもなさそうだったじゃないですか。伊東さんにニコニコして」

ちょっと意地悪な視線を投げかける。


「…ニコニコしてねぇし。伊東さんのリアクション大袈裟過ぎて、全力で苦笑いしてたんだけど、気づかなかった?」

百田は肩をすくめて苦笑いした。


「そうなんですか?それは気付きませんでした」


「真面目だなぁ佐藤。会社の外だし、飲みの席では無礼講でいいじゃん」

と、百田はグラスを掲げてきた。


しばし考えて、うなずく。

「…じゃあ遠慮なく」

ま、いっか。皆、盛り上がってて、タメ語聞こえないだろうし。


カチンとグラスを合わせると、そうでなくっちゃと百田は笑った。


「出世おめでとー、百田」


「おう、サンキュー」


「ちょっとは謙遜しなさいよ」


笑い合って、懐かしい空気が流れる。


「そういや佐藤、今夜強引に誘ったけど、予定あった?」
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