mariage~酒と肴、それから恋~《2》
「百田主任~!次の曲、一緒に歌いましょうよ~!」

伊東さんたちが百田を手招きしている。


「ほらほら、百田、女子たちに呼ばれてるよ~。前出て」

百田の腕を押す。


「おう、了解ー。じゃ行ってくるわ、佐藤。

ああ、ちなみに…――」


百田は立ち上がりながらさりげなく、

「出したよ」

と、あたしの耳元で一旦静止して囁いた。


「?何を」


「人事に口」


「え?」


「佐藤を付けて欲しいって頼んだの俺だもん」


一瞬、意味深な視線をあたしに向けた。



大きく心臓が音を立てる。




……――――『泊まる?』


“あのとき”と、同じ目――……




何これ、フラッシュバック?

途端に鮮やかに百田との記憶が蘇ってくる。



どういうこと?

どうしてあたしを選んだの?
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