mariage~酒と肴、それから恋~《2》
すると、百田はパッと笑顔になった。

「懐かし~!佐藤におかえりなさいって言われるの!ただいま!!」

全開の笑顔。

取り引き先はコレにやられるんだろう。


あたしが入社後に最初に配属されたのは会社の受付だった。


新人営業時代の百田が何度も外出するのを見送り出迎えた時代があった。


あの頃は若かった(笑)

二十代後半で、受付から一般事務職に異動になった。


元々パソコンが得意だったから、入社当時から事務職希望だったんだけど。


でも、女子社員の花形の受付から事務職に異動になったときは、女の価値がなくなったって現実突きつけられてるみたいでショックだったなぁ。。。

なんて、感傷に浸ってどうする(苦笑)


百田は自分のデスクに荷物を片付けながら、懐かしそうに話しかけてくる。

「受付って、制服違うもんな。首におっきなリボンつけて、佐藤可愛かったよなぁ」


「リボン?ああ、あれスカーフですね。って、“可愛かった”??」

過去形??チラッとにらみつけると、百田ははっとして頭を下げた。


「今も!です!スミマセン、失言でした!」
< 8 / 30 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop