意地悪上司に求愛されています。（原題　レア系女史の恋愛図鑑）
　元官僚だった彼は沢コーポレーションにヘッドハンティングされ、転職をしてきたという一風変わった男である。

　それもこの沢コーポレーションにやってきた理由というのが、またもや情熱的というか、なんというか。
　好きな女をもう一度手に入れるために、仕事を転職してやってきたのだ。

　しかし、残念ながらその彼女は、すでに違う相手に恋をして、現在その男の妻になっている。
　木島が好きだった女性は、私の後輩だった旧姓片瀬さんだ。

　片瀬さんの旦那となったのが、私のにっくき天敵であり、営業事業部の課長である藤沢という男だ。

　木島にとっては大好きな彼女を藤沢に奪われ、私は狙っていた課長の椅子を奪われた。
　ある意味、藤沢という男を恨む者同士といった感じだろうか。

　そんな木島だが、常はNYを基点とし、海外事業部の課長として仕事をしている。
　そして、ひと月に一度は本社に戻ってくるのだ。

　まさか今日、こんなところで彼と顔を合わせるとは思っていなかった。
　身体的にも、精神的にも疲れを感じている今、会いたくなかった相手といってもいいだろう。

　とにかく、この男。読めないのだ。いろんな意味で。

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