意地悪上司に求愛されています。（原題 レア系女史の恋愛図鑑）

７ いつの間にやら悪者扱い

（どこでどうなって……こうなった？）

　久しぶりに定時で仕事を上がることができた私は、スーパーでお弁当を買ったあと、自宅に戻ってきた。

　レンジでお弁当を温めていると、ブルブルとスマホが揺れる。誰からメールが届いたのかと確認したら、相手は木島だった。

―――　仕事お疲れ様。今日は定時に帰ったのだろうか。たまにはゆっくりオフを楽しんだほうがいい。そのほうが仕事が効率よく進むから。さて、俺はこれから一日が始まる。君からメールが来たら頑張れるのにな―――

　NYは今、サマータイムだから十三時間の時差だろう。もちろん向こうは朝だ。
　朝起きてすぐ私にメールを送ってきたのだろう。

　一週間前。専務の息子である田中からの訳が分からないアプローチにお手上げ状態だった私は、木島に助けられた。

　で、そのあと約束通りランチを一緒に食べ、そのときにボールペンを返してもらった。
　だが、そこからがまたしつこかった。

　私のプライベートの連絡先を教えろと言い出したのだ。
　会社で会うのだから必要ないと返したが、「俺はNYにいる。なかなか会えない」と拗ねだした。

「別に会わなくたっていいでしょ？　仕事仲間なのだから会社で会えば事が足りると思うわ」

　そういって冷たくあしらったのだが、木島は諦めなかった。