意地悪上司に求愛されています。(原題 レア系女史の恋愛図鑑)
8 とんでもない休日
(別に、木島が言ったからじゃないわよ。オフなんてどんな過ごし方したって仕事の効率なんて一緒だし)
誰かに言い訳する必要なんてないのだが、なんとなく言いたくなった。
土曜日の午後。いつもならゆっくり家でレンタルしてきたDVDを見ていたりするが、私にしては珍しくショッピングモールへとやってきている。
いや、別にショッピングをするのが久しぶりというわけではない。
スーパーには食料品を買いにも行くし、服だって買いに行く。
ただ、何か目的があって行くことがほとんどで、何を買うのか決めていない状態で買い物に出ることがない私としては珍しいことである。
所謂ウィンドウショッピングをしようかと思ってバスに乗り込み、大型ショッピングモールへとやってきた。
ビジネスモード時の私は黒縁眼鏡をかけ、アイライナーをキツく引き、服装といえばダークブラック系のパンツスーツ。変わり映えのない格好をしているのが通常だ。
会社関係者は、私はオフの時でも堅めの格好をしていると思っていることだろう。
しかし、1歩会社から離れれば、私だっていつもカチッとした姿をしているわけじゃない。
家ではナチュラル系の服装を好んできているし、化粧だってナチュラルメイクだ。
本当はフワフワとした可愛いファッションが好きだが、仕事場でそんな格好をしていたら「菊池女史、どうした!?」と言われかねない。