沈黙の境界線
お母さんは私を塾に通わせることで、あの男との繋がりが切れないようにしたいだけなんだ。
無理もない。
あの男はまだまだ若いうえに、周りの保護者や生徒からもモテている。
繋がりがなくなれば、こんなおばさんはすぐにすてられるんだ。
お母さんは私の心配をしてるんじゃない。
自分があの男にすてられることを恐れているだけに決まっている。
私はもう二度と
いいように利用なんかされたくない。
わたしは
誰かの都合の良い道具なんかじゃない。
「話しは終わったでしょう!早くでていって!」
戸惑う母親を部屋から追い出して
パソコン画面に向き直る。
そして、モカへと殴り書くように
呟いた。
「誰も私を理解してくれない」と。