沈黙の境界線
「おかしいかな?物心がついた頃には悪いことをしたら、反省したと信じてもらえるまで、必ずどこかに閉じ込められたんだけど。」
当たり前の事のように書き込んできたモカの言葉からは幼少時代から続く虐待を思わせるようなことばかりだった。
「でも、幸いなことに今はこうして自由のきく自分の部屋に閉じ込められるぐらいで済んでいるからマシなほうだよ。
俺も幼くない。
力のない赤ん坊ではない。
母さんに黙って従っているのは、学校に行かなくて済むし楽だからね。
腹がへれば窓から外にでて買い物することだってできる。
そのために必ず靴は一足、部屋に隠しているんだ。」
モカの言葉を聞いて驚くことはなかった。
ない代わりに、まるで違う環境で育ちまるで違う痛みを抱えているはずの彼の心が
私の心のすぐそばにいるようにさえ感じていた。